脳内物質の測定・ドーパミンの場合
「音楽、楽しさの源はドーパミン 好きな曲で分泌好きな音楽を聴くと楽しくなるのは、脳で快楽物資 ドーパミンが出るためだと、カナダ・マギル大の研究 チームが明らかにした。好きな音楽を聴けると 思っただけでもドーパミンは出た。(中略) 研究チームは、19〜24歳の8人にクラシックや ジャズなどの音楽を聴かせ、脳が活発になる 様子や心拍数などからドーパミンの出方を調べた。 (中略)成果は米科学誌ネイチャー・ニューロサイエンス 電子版に掲載された。」
(朝日新聞2011.1.18より)
脳内物質の量の増減を、体内の血液や尿で測定することは、できない。
尿によるセロトニン測定について

東邦大学医学部元教授の有田秀穂氏(セロトニンDojo代表)は、2007年まで、セロトニンの数値を尿で測っていた。
これらのハルンカップは、有田氏がセロトニンを測るために使っていたものである。
その実験手順は、まず一番初めに、実験参加者から採尿し、次に、
読経や運動などのパフォーマンスをさせ、その後再び、その参加者から採尿する。
そのパフォーマンス前後の、尿内のセロトニン値を、測っているのである。
「脳が不安を感じると、その信号が腸に伝わって、腸の粘膜からセロトニンという物質が分泌される。
このセロトニンの作用によって、腸の運動に異常をきたして、腹痛や下痢を引き起こす」
(朝日新聞2009.11.15より)
つまり、上記のような手順で測られたセロトニン値は、ストレスによって出された腸内セロトニンである。
有田氏の論文は、ストレスをかけた結果セロトニンが出た、と言って喜んでいたのである。
こうして作られた論文では、脳内のセロトニン値の増減ではなく、ストレスによって出る、
腸内セロトニン値の増減が述べられているのある。
血液によるセロトニンの測定について

これらの物質(液体)は、実験参加者の静脈血管から採取した血液に、
有田秀穂氏(セロトニンDojo代表)が加えた物質である。
5HTはセロトニンである。
N−メチルセロトニンもセロトニンである。
アスコルビン酸は、保存のために使用されるものである。
実験参加者は、リズム運動や腹式呼吸、または体操など、
何かのパフォーマンスを行なった。有田秀穂氏は、
そのパフォーマンスの前後に静脈血管から血液を採取し、血中のセロトニンの量を測定した。
測定結果は、後日、有田秀穂氏から実験参加者に知らされた。
例えば、○○○(運動)を行なった人に対して、
「セロトニンが出ました。○○○は、セロトニンを出す効果が
充分にあったようです。」と知らせた。
つまり、データの操作(改ざん)が、なされていたのである。
これは、実際にあった出来事である。
ISTAに寄せられた声
(ISTAには、これまでさまざまな意見が寄せられました。その中で、 事実を前提にしており、論評の域を逸脱していないもの・違法性のないもの を選んで、ここに掲載します。)・「人が感じているストレスの強弱は、唾液中のアミラーゼ(コルチゾール)で正しく測定で
きる。ストレスが強いとアミラーゼが多く出る。研究の妥当性を高めるのであれば、血液
中のセロトニン値だけでなく、同時に唾液中のアミラーゼ値を測定するべきである。
しかし、有田氏が自著でアミラーゼに触れていないのは、血液中のセロトニンが多く出た時、
(ストレス度と比例して出る)アミラーゼが多く出たためである。
有田氏の「血液中のセロトニン値が多くなることをすれば、ストレスが消える」という
仮説は、大きな間違いであり、実は、血液中のセロトニン値が上がったということは、
ストレス度が強くなったということである。しかも、血液中のセロトニン値は、誰でも
朝が低くて、夕方には高くなる。(唾液中のアミラーゼ値も、普通は朝より夕方の方が高くなる。)
これは、1日の疲れがストレスとなり、夕方の血液中のセロトニンが増えたということなのである。」
(K大医学部教授)
・「内科医の立場から意見を申します。
東邦大学医学部教授の有田秀穂氏は、脳内セロトニンの量を測定すると称して、
腕から採った血液や尿の中のセロトニンの量を測定していますが、これはほとんどが
腸内セロトニンの量に他なりません。
人体のセロトニンの90パーセント以上が腸内にあり、腸内セロトニンの働きは、脳内
セロトニンとは全く異なります。腸内セロトニンは、人間がストレスを感じれば
感じるほど大量にでます。その結果、腸に不規則なぜんどう運動が起こり、腹痛や
下痢の原因になります。緊張すると、便意をもよおすといった症状が起こるのは、
腸内セロトニンの働きです。ストレス性の大腸炎などは、腸内セロトニンが増加
したことによって起こるのです。これらのメカニズムは、NHKの『ためしてガッテン』
でも紹介されていました。医学部出身のものなら、誰もが知っていることなのです。
大学医学部の研究室で緊張して、何かのエクササイズを行ない、その結果、血中又は
尿中のセロトニンの量が増えたとしても、それは緊張などによってもたらされたストレス
により、腸内セロトニンの量が増えたということなのであります。つまり、有田氏が
何かのエクササイズの前後にセロトニンを測定し、増加していたとしても、
そのエクササイズによって、脳内セロトニンが増加したと判断しているのは、
大きな誤りであります。
むしろ、ストレスを感じず、毎日を楽しく送っている人は、腸内セロトニンの量は
少ないのです。すなわち、血中尿中のセロトニン量の少ない人は、むしろストレスを
感じていない幸せな人と言えるのであります。」(T大医学部出身)
・「脳内のセロトニンについては、fMRIで測定できる。脳内セロトニンは、 血液や尿から測定することは出来ない。fMRIによる脳内セロトニンの 検査によって、脳内セロトニンと腸内セロトニンの働きがまったく 違うということが、明らかになっている。また、人間の感じる ストレスの強弱については、だ液中のアミラーゼによって、測定できる。
fMRIによる 脳内セロトニンの量 |
血液中の 腸内セロトニンの量 |
アミラーゼの量 | |
ストレス強の場合 | 少 | 多 | 多 |
ストレス弱の場合 | 多 | 少 | 少 |
有田氏は、『自転車の競技選手が、自転車を軽くこぐとセロトニンが出なかった。
負荷をかけてこぐと、セロトニンが出た。』と言っているが、これは、負荷が
かかって、ストレスが強くなると、腸内セロトニンが多く出るからであり、有田氏が
測定しているのは、脳内セロトニンではなく、腸内セロトニンであるという証明
である。
アミラーゼは、測定キットが市販されており、簡単に測定できる。自転車の
選手に自転車をこいでもらい、アミラーゼの量を測ってみると、軽くこいだ場合、
アミラーゼの量は少なく、負荷をかけてこいだ場合、アミラーゼの量は多かった。
負荷がかかると、ストレス度が高くなっている。つまり、有田氏の『負荷をかけた
運動の方が、脳内セロトニンが出やすい』というのは、大きな誤りである。
有田氏が測定している血液中・尿中のセロトニンは、『ストレスが増えると多く
出る腸内セロトニン』であり、脳内セロトニンとは違うのである。」
(精神科医・脳内物質研究者)